Lichens

南極昭和基地周辺の地衣類
南極昭和基地周辺の地衣類 ・ 国立極地研究所関連データベース生物圏研究グループ極地植物多様性画像データベース日本語 / 英語

○ 学 名


Acarospora williamsii
Buellia frigida
Buellia pycnogonoides
Buellia subfrigida
Caloplaca athallina
Caloplaca citrina
Candelaria murrayi
Candelariella flava
Carbonea capsulata
Lecanora expectans
Lecanora physciella var.
Lecidea andersonii
Lecidea cancriformis
Lecidella siplei
Physcia caesia
Pleopsidium chlorophanum
Pseudephebe minuscula
Pseudephebe pubescens
Rhizocarpon adarense
Rhizocarpon flavum
Rhizoplaca melanophthalma
Rinodina olivaceobrunnea
Umbilicaria aprina
Umbilicaria decussata
Usnea sphacelata
Xanthoria elegans
Xanthoria mawsonii

○ 和 名


アミノメスミイボゴケ
キョクチノビスケットゴケ
クロヒゲゴケ
コケノウエノチャシブゴケ
コフキアカサビゴケ
コフキシロムカデゴケ
コフキダイダイゴケ
サイハテノヘリトリゴケ
タカネケゴケ
タカネケゴケモドキ
チャフクレホウネンゴケ
ナナバケチャシブゴケ
ナンキョクイワタケ
ナンキョクコナチャシブゴケ
ナンキョクスミイボゴケ
ナンキョクダイダイゴケ
ナンキョクチズゴケ
ナンキョクヘリトリイボゴケ
ナンキョクヘリトリゴケ
ナンキョクヘリトリサラゴケ
ナンキョクホウネンゴケ
ナンキョクホウネンゴケモドキ
ナンキョクミズギワノチズコケ
ナンキョクロウソクゴケ
ナンキョクロウソクゴケモドキ
ネナシイワタケ
ミズギワノスミイボゴケ

はじめに

南極昭和基地周辺の地衣類

昭和基地のある宗谷海岸及びプリンスオラフ海岸で採集された地衣類は約60種類である。

分類と分布

ラング永久方形区
ラング永久方形区 

地衣類はコケ類(蘚苔類)やシダ類のような単一の生 物と異り、菌類と藻類との共生体で、藻類が光合成を担い独立栄養を行なう。 地衣体は基本的に菌糸組織で分類学上は菌類の一群である。菌類は子嚢菌か担子菌、藻類は緑藻か藍藻で、子嚢菌と緑藻の組み合わせが最も多い。熱帯から極地にいたる多様な環境下で岩石、砂土、樹幹などの上に生育している。

好鳥糞性地衣類群落
好鳥糞性地衣類群落 

南極点近くに位置するクイーンモード山脈の南緯86°付近には8種類の地衣類が生育し、ここが地球上の植物の分布南限といわれている。生長速度が緩慢で長命にもかかわらず各種の環境変化に比較的短いタイムスパンで敏感に反応するため、環境指標植物としても知られている。薬用植物としても注目され、またトナカイの冬期の餌の5〜6割は地衣類であるという報告もある。

 地衣類は極地の陸上で最も優勢な植物であり、昭和基地周辺(南緯69°付近)で蘚類7種類に対して地衣類は約60種類を数える。地衣類はその生育型の違いから固着地衣、葉状地衣、樹状地衣に3大別され、環境条件の良好な場所では一般に大形地衣類の後2者が優勢である。スバールバル諸島やエルズメア島など高緯度北極域で大きな群落を形成しているエイランタイ属、ハナゴケ属などの大形地衣類は昭和基地周辺ではみられず、代わって南極大陸各地に広く分布する南極固有種のナンキョクスミイ ボゴケBuellia frigida、チズゴケ属Rhizocarpon、ヘリトリゴケ属Lecideaなどの固着地衣が大半を占めている。葉状地衣のナンキョクイワタケUmbilicaria aprina、樹状地衣のクロヒゲゴケUsnea sphacelataなどの大形地衣類はブリザードによってもたらされる風送塩の影響の少ない場所など限られた環境にみられる。しかし南極半島周辺の亜南極地域では高緯度の北極域と同じ大形地衣類の群落が発達している。
 極域の陸上生態系に豊富な栄養分をもたらす海鳥の営巣地周辺にはアカサビゴケXanthoria elegansやダイダイゴケ属Caloplacaで構成される色鮮やかな好鳥糞性地衣類群落が発達している。この群落は遠目でも判別でき、海鳥営巣地の目印ともなる。
 極地特有の環境条件として低温と水分の不足が挙げられる。大規模な氷冠の存在する南極では特にそれが著しいが、地衣類の多くはこれに見事な適応を示す。極地の地衣類には実験室内で-196℃、野外でも-50℃の低温でも死滅しない耐凍性の強い種類が知られているが、これは細胞内部が脱水凝縮されて、氷が地衣体組織の間隙で成長する細胞外凍結をするためである(KAPPEN et al., 1996)。-24°Cで光合成を行なう種類も存在するように、低温に対する適応能力は共生体としての地衣類の構造的・機能的特性と思われる。
 極地の地衣類は北極、南極それぞれの固有種の他、多くは中緯度地方の高山との共通種である。クロヒゲゴケをはじめとする両極分布種、ナンキョクイワタケのように両極に分布してアルプスと中東の限られた高山やハワイ島マウナケア山、ぺルー、エチオピアなどの赤道付近に聳える海抜4000mを超す高山に隔離分布する種類も知られている。
 このように極地の地衣類は地球の成り立ちや環境を考えるうえで重要な情報を備えている。

井上  正鉄(秋田大学教育文化学部)
神田  啓史(国立極地研究所)          
監修:伊村  智(国立極地研究所)             

本データベースは独立行政法人日本学術振興会平成19年度科学研究費補助金
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