南極点とは何なのか
 地球はほぼ球形ですから、その極も南北対称になるので話を南極にしぼってみます。「南極」の本来の意味は地球の自転軸が地表と交わる点、すなわち「南極点」を指します。この南極(点)が地球の極であることを疑う人はいないでしょう。緯度は南緯90度、経度は表現できない特異点、つまり地理学的な極です。地球は大きな磁石にたとえられます。その磁石の極、つまり磁石の針が指す南の位置、これが南磁極です。この南磁極の位置は1909年シャクルトン隊によって確かめられましたが、その時は南緯72.4度、東経155.2度でした。この磁極は1年に10kmくらいの割合で北方に移動しており、1997年1月には南緯64.6度、東経138.6度で現在南極海にその位置を移動しています。

 南磁極や北磁極は地球上で実際に磁石の指す南や北です。その位置を過ぎると磁石はそれまで指していた方向と逆の方向を指すことになります。しかし、南磁極と北磁極は地球上で対称的な位置にはありません。つまり地球は球形でそのなかに1本の棒磁石があるというような単純なものではありません。地球上の各地点の磁場の強さから、地球の磁場を棒磁石のような完全な双極子磁場と考えた場合、その磁場の極を磁軸極と呼びます。南磁軸極は南緯78.6度、東経110.0度にあり、近くにロシアのボストーク基地が建設されています。

 「地理学的極点」、「磁軸極」、「磁極」これらは地球上の3つの極とよばれるもので南北それぞれに存在します。これらの極に加え南極には「到達困難極」とよばれるー種の「極」があります。南極大陸周辺の海岸線からもっとも離れた点で、近づくことも大変な地域であることからの命名です。そこは、南緯82.3度、東経65.7度を中心とするー帯の地域です。標高は約4300mでその上をおおう氷床の厚さも4000mを超え、寒く、地球上で自然環境のもっとも厳しい地域です。

 なお南極点といえば不動のように聞こえます。しかし、現在アムンセン・スコット基地が建設されている南極点は厚さ2700mの氷の上にあります。南極点付近の氷は西経43度の方向に1年に10mくらいの速さで動いており、その表面で南緯90度の点を決めても、その点は氷とともに動いてしまいます。したがって、南極点基地には、訪問者用(観光向き)の南極点と本当の南極点の標識があり、後者は毎年元旦にその位置を測定し、南極点を示すポールを立ててあります。

 南極大陸の東半球側を東南極、西半球側を西南極と呼びます。