氷床の一生
雪が固まって融けるまで
 南極大陸表面基盤近くの氷床の氷は、数万年前から数十万年ぐらい前に降った雪が氷になったものです。そして、この古い氷が大陸の中央から沿岸へと移動します。移動する速度も場所により大きく変化します。内陸地域では1年間に数mから数十mと非常にゆっくりと動きます。沿岸域では速く、数百mになり、動きの速い氷河では1、2kmにもなります。 沿岸から海に張りだした大陸の氷は、棚氷を形成した後、氷山になって流れだします。棚氷にならず、海に張りだしてすぐ割れて氷山となる地域もあります。 内陸から沿岸部までは1000kmもあります。平均して1年に100m移動するとしても、内陸で降った雪が氷山になるころには1万年も過ぎているのです。

 それでは、現在の南極の氷は減りつつあるのでしょうか。それとも増えつつあるのでしょうか。南極の氷の増減、つまり南極氷床の“質量収支”を知ることは気候変動や海面変動という私たちの日常生活にも直接関係がある問題です。
氷の収支
雪の蓄積量 2000Gt(ギガトン)
氷山の分裂による消耗 1200〜1500Gt
氷床や棚氷の底面の融解 200〜300Gt
氷床表面での蒸発量、融解量 10Gt
これらすべての収支を合せると、南極氷床は全体として収支ゼロの平衡か多少増加しているようです。